水になるブログ

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中国式強欲

 セレブな国際政治学者三浦瑠璃が横領の疑いで東京地検特捜部に逮捕された夫、清志氏に「100億円くらいつくれないの」と迫ったと言われていますが、本当だとすれば豪勢な生活やセレブな交友関係を維持するための経済的動機から犯罪に至る過程で本来保っているべき正常な感覚から一線をとっくの昔に超えていたのだと想像します。

 蘇享茂と翟欣欣のケースは2017年に夫である蘇が北京のIT企業を起こした起業家であったことと自殺という結末で幕を閉じたことで注目を集めました。蘇の兄弟が公開した遺書には”とてつもなく質の悪い元妻、翟欣欣”によって自殺に追い込まれた、と記されていました。この事件は三浦瑠璃よりも松本清張原作の映画「疑惑」で桃井かおりが秀逸に演じた球磨子を思い起こさせます。

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 蘇(当時43歳)は2017年の3月、マッチングサイトで6歳年下の翟と知り合います。二か月後の6月に結婚、7月に離婚、さらに二か月足らずの9月には蘇が自殺しています。なんというスピード感。そもそも自殺に追い込まれる、ということ自体がなかなかピンとこないのですが、半年の間に出会い、結婚、離婚を経て死に至るまでの出来事や二人のやり取りは想像を絶するものだったでしょう。

 蘇の家族が訴えた法廷が確認したところ、離婚するまでに翟が収奪した金品はTesla車、カルティエの宝飾品、$436,000以上の現金となっています。裁判所の返還命令に対して翟はそれらの金品を”結納品”だとして対抗しましたが棄却されました。

 二人の間に喧嘩が起こった後、翟は蘇に対して”私と結婚したいなら毎日5万元(約97万円)を私の口座に振り込みなさい!私が結婚する気になるまで!”とWeChatに打った内容も公開されています。

 恐ろしいですね。蘇さんは経済力がある人なので毎日5万元、と要求されていますがもっと身近な事例で「毎日500元振り込みなさい!」くらい言われるケースはふつうにありそうですが。蘇は彼女の許しを請うために現金を振り込んだそうです。また、離婚にあたっては三亜(中国最南端のリゾート地)のマンション一部屋の購入と1000万元(約1億9400万円)の現金を要求しました。蘇は三亜のマンションを購入し、660万元の現金と340万元の借用証を渡したそうです。

 遺書には翟が蘇さんの会社が税逃れをしていることを握られており、これをネタに強請られていたことも記されていました。蘇が署名した協議書には残金340万元について離婚成立から120日以内に支払いを完了する、さもなければ蘇は翟に一日あたり10万元のペナルティを支払うことが謳われています。

 協議書に署名するときの絶望感を蘇はホテルに数日間身を潜めて憔悴仕切っていた様子とともに記しています。”そのときの私は心身ともにあまりにも弱り果てていた”と。蘇さんには同情を禁じえませんし、翟のあまりのあきれ果てた悪女ぶりには背筋が寒くなる思いです。恐るべし強欲。

Be water, my friend.