水になるブログ

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香港の真髄

 香港といえば、子供のころは100万ドルの夜景、アグネス・チャン、そしてブルース・リー、大人になってからはあまり明確なイメージやシンボルがなくなってきました。ただ、40歳になって上海に転勤した当時、都市開発や商業施設などで先行していた香港は私にとって上海や中国大陸との比較において洗練された都市のイメージを印象づけられました。そのとき香港で体験したショッピングモールをやがて上海や他の大陸の都市で見るようになり、大陸はIT技術を活用した商品やサービス、交通インフラなどで急速に発展していきます。

 2019年末、Covid−19の脅威が吹き荒れるその直前に香港に赴任しました。最後に訪れてから10年以上経った香港は活気が削がれ、インフラは朽ちたように感じました。MTRの駅、道路、古びたアパートなどは経年によって当然、文字通り朽ちているわけですが、コンビニの支払いはオクトパス(当時はカードのみ!)が使えますが、チャージするのに現金が必要だったり(その直後にモバイルアプリの利用開始)、タクシーに乗るにも通りで拾い現金で支払うといった具合で、これでは大陸の人が来てばかにするのではないかしらと変な心配をしたものです。

 オクトパスは1997年、ちょうど香港返還の直後に正式導入され、ソニーが開発した非接触型ICカード規格のFeliCaを世界で初めて採用したものでした。当時の最先端技術によるインフラが後から出てくる新しい技術に移行する足枷になることは企業でもよくありますね。2019年における物理カードによる支払いと現金によるチャージは私にこのことを強く印象付けました。

 あまりネガティブなことばかり言うつもりもないのですが現在の香港のイメージは何かというと、高い家賃、狭い住宅が一番先に来ます。もちろん香港国家安全法でとどめを刺された民主主義という社会基盤の大問題もありますが。政府も現実的に頭が痛いのは人材や外資企業が流出することではないでしょうか。国安法施行後、イギリス政府は香港住民に対して特別ビザの受付を開始しましたが、一年間で約10万人を超える申請があったそうです。

sc.mp

 香港にとって大陸は政治的には憎悪する対象という人は多く、一方で経済的利益をもたらす存在でもあります。その大陸がいよいよ経済的行き詰まりを鮮明にする現在、私が思う香港の将来はますます不透明感が強くなります。失われた30年の国民として他所の心配している場合でもないのですが、香港のスピリット、香港の真髄とは何だろうとつい考えてしまうこの頃です。

Be water, my friend.