水になるブログ

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2025年 中国高速鉄道5万km計画 (4) 鬼鉄

 中国には人口100万人以上の都市が100近くあるそうです。2021年4月22日の人民網では100万都市が93都市、江蘇省と山東省はそれぞれ10都市あり、最多だそうです。Wikipediaにはかなり古い、2000年の調査データが掲載されていますが、これも94となっています。一位は上海で、1435万人。今は直轄市になって合併で巨大になった重慶がダントツの一位だと思います。このデータで100万人ぎりぎりの都市は撫州、牡丹江、資陽などが並んでおり、中国で7年駐在した私もまったく覚えがない名前もあります。
 2021年8月24日、交通運輸部の李小鵬部長は中国の高速鉄道は100万都市の95%をカバーしていると発表しました。たとえば上海を起点にすると蘇州、無錫、常州、あるいは杭州、寧波、金華、温州といった周辺の主要な都市への移動がそれにあたります。2007年当時私が代理店の開拓のためターゲットエリアを移動するのに高速鉄道網の新設は非常にタイミングがよかったのです。(2025年 中国高速鉄道5万km計画 (2)でご紹介した不便がありますが)
 その後、路線はどんどん拡張し、今では100万都市を95%カバーするに至ったということですが、90あまりの都市のほとんどすべてをカバーしていることになります。もし本当なら、さきほどの撫州、牡丹江、資陽といった都市も含まれている可能性が高いということです。
 1月18日、中国国務院が輸送インフラ5か年計画で、高速鉄道網が2025年までに50,000kmまで拡張されることが発表されました。2020年末時点ですでに38,000kmが運行されており、12,000kmの増加ということになります。この増加分だけで日本、フランス、ドイツ、フィンランドを合わせた高速鉄道の運行距離を超えてしまいます。
 日本の都市部では鉄道路線を前提に住宅や都市開発をしてきたため比較にはなりませんが、年間の鉄道輸送人員は230億人であるのに対して中国はわずか22億人です。(2020年のデータのためCovid-19 の影響を大きく受けているが、その前年でも37億人)国土交通省の統計によると、令和元年の新幹線輸送人員数は4億人強です。
 したがって中国の高速鉄道は現時点ですでに供給過剰と思われますが、民間固定資本投資の代表である不動産に今後期待できないこともあり、事情はわかります。劉志軍が汚職によって解任された後、鉄道部は解散され、国家鉄路集団に運輸行政は引き継がれています(本質はなにも変わらないと思います)。鉄路集団の2018年9月時点の負債は5.3兆元となっていますが、この負債が増々拡大していくことになるでしょう。すでに826.8km、2380億元相当の実行計画が国家発展委員会に承認されています。さらに長期では2035年までに高速鉄道網の倍増も計画されています。
 景気対策としてはこれだけは不十分なのはおいておくとしても、税収が細る中、大手企業へのカツアゲやニラ狩りがますます盛んになることと推測します。不動産(住宅)では2016年にすでに34億人分の住戸が建設されたと言われ、住み手のないまま放置された“鬼城”という表現が日本でも広く知られるようになっていますが、今度は“鬼鉄”(guitie)が話題になるかなあと勝手に想像しています。
(終わり) 

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