水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

戻ってきた中国本土からの旅行者

 コロナ禍の三年とそれに先立つ逃亡犯条例に端を発する市民のデモ活動と国家安全法による封殺を経て香港は少なからず輝きを失ってしまいました。実際に今、ここで生活をするものとしてこの都市の魅力はなんだろうか?とふと考えることがあります。山や海といった自然環境、それらと超高層ビル群が一体となった立体的な景観、点心や海鮮料理などを挙げることができますが、物足りなさを感じるのは人々の熱気が感じられないことです。これが時代というものなのでしょう。
 免税で買い物ができることがかつては香港を訪れる人々にとっての大きな魅力でした。かつては年間に5千万人の往来があった中国本土の人たちにとってもそうでした。今年からようやく自由に本土と香港の往来ができるようになり、香港の観光業界は再びそうした活況が戻ることを期待しているようですが本土の反応はその期待とは温度差がありそうです。

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 買い物目的で人々を惹きつけることができなくなっているようです。今の消費者は香港に来なくてもeコマースを通じて世界中からよい値段で買い物をすることができるから、というのがひとつの理由です。ある中国のインフルエンサーは、本土ではハイキングやキャンピング、あるいは海外の文化を体験することに興味をもつ若者が増えており、香港は彼らをターゲットにするべきだ、と提案します。これはいい案ですね。
 私自身、香港に赴任するまでは香港=セントラルや尖沙咀という認識が強く、その後背地としての山や数多くの島に対しては注意を払っていませんでした。超高層ビル群とは対極の、そしてとても身近にある自然環境が香港の大きな魅力だと後から気づきました。
 吉林省長春のある旅行代理店はお客さんが香港を経由するより費用がかかる厦門や雲南といった場所へ長距離のツアーを好むと言います。また、やはり2019年の暴動に関連して香港に対するネガティブな印象が払拭できていないことも影響しているそうです。
 また、香港のお店などでのサービスについての不満を露にするSNS上のコメントも注目を集めています。これは私も常々思うところです。これに対して、中国(本土)でも(店員の態度が悪いという)同じような問題はあるけどいちいち取り上げたりしないのに、なぜ香港だけをやり玉にするのか?といった反論もあります。(これは本土からのものかあるいは香港かはわかりません。)しかし、別のコメントでは”香港のサービスは死んだ”と言っているので、かつてはそうではなかったが、今回訪れて失望した、ということなのかもしれません。
 香港を訪れた人の数は1月が498,689人、2月は146万人でCovid-19 の感染拡大が始まった2020年初頭以来の100万超えとなりました。このうち中国本土の人は1月280,525人、2月は110万人と、年間5千万人のペースにはほど遠いものの、往来は確実に増えています。実際、外を歩いているときも目に見えて”あちら”の人々を目にする機会が増えています。ツアーの団体はもとよりハナシていることばと声の大きさ、身のこなしなどで明らかにそれとわかります。香港のお店のサービスについては私も不満を感じていますが、あちらからのお客様を相手にするのもそれはそれでたいへんだろうなと推察します。ま、仕事ですけどね。
Be water, my friend.