香港にある北京の出先機関として中央政府駐香港連絡弁公室が設置されていますが、昨年10月の党大会で中央を初めとする新たな人事が行われ、この弁公室にも新しい主任が任命されています。
新主任の鄭 雁雄(ていがんゆう)は広東省出身の共産党員としての経歴をもち、2020年7月から香港特別行政区に着任しています。香港国家安全維持法施行に伴なってアメリカ大統領令によって発せられた米国内資産凍結などの制裁対象に指定されています。
鄭主任は2月15日に弁公室においてメンバーに対して講和をし、その中でビジネスハブとしての香港の重要性について述べた内容は以下のとおり。
- 香港は本土のバックアップを背に、世界とつながる役割をもつという強みを活かすべきだ
- 香港はかつて広東省に対する海外直接投資の90%に寄与しており、今でも60%が香港を経由している
- 香港はオフショアの人民幣取引に対して重要な役割をもち、国家統一の模範となる
- 香港は中国式近代化の拡大を支えるだけでなく、むしろその先頭に立つ
中国式近代化と言っているのは習近平主席が主張する、近代化と西洋化は別のことであり、中国式の近代化は発展途上国のよき模範となる、というコンセプトです。トゥキディデスの罠で指摘されるスパルタとアテナイの緊張関係を体現する米中の現状を中国共産党総書記は鮮やかに名言していると思います。
米国に対して台頭する中国の「中国式近代化」に香港が貢献する?ボタンを掛け違えているようなむずむずした気持ち悪さを感じますが、そもそも社会主義市場経済を標ぼうするご都合主義の前提から思えばなにを今更、ということでもありましょう。
Be water, my friend.