水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

香港のゆったり感

 香港にないものは「ゆったり感」だと思っていますが、近年オフィスは高い空室率が続いています。中心部のCentralでは今でもCK Asset(李嘉誠の長江実業グループ)、Henderson Landが自社ビルを建設していますがほかには目だった新規のプロジェクトはありません。今年に入ってグレードAと言われるクラスのオフィスビルの空室は980万sqフィートに達し(過去最高)、IFCのビルディング5棟分、あるいは170のサッカー競技場に匹敵する面積だそうです。
 また空室率で計算すると10%を超え、19年ぶりの高水準となっています。自分の仕事上ではオフィスの新規建築のサブコントラクトとメンテナンスを受注しているのでこれはたいへん気になる、というか現に影響を受けています。当然ですが家賃水準からみても2020年の第一四半期と比較して今年第三四半期で20%以上の下落となっており、しかも傾向としては下がり続けています。要因としては大きく二つあり、ひとつはCovid-19の影響によって企業がwork-from-homeを奨励していること、もう一つは中国本土からの人の流入が制限されていることです。

sc.mp


 一方、高すぎる香港の家賃が下がることはテナントとしては歓迎すべきことです。そうしたことが背景になっているかどうかはわかりませんが、偶然二件の日本のフードサービスの事例を目にしました。ここで「はっ」と思ったことはこの二件の例はともにお客さんに「ゆったりと」時間を過ごしてもらうことをコンセプトにしていることです。ひとつは吉野家、もうひとつはドン・キホーテ(Don Don Donki)が展開する鮮選寿司の、ともに新業態の試みです。

Yoshinoya Concept Cafe

香港吉野家は1991年に香港に進出して30年以上を迎える。このタイミングで新コンセプトの店を開業したことについて、香港市場を運営する洪氏飲食集團の楊静宜さんは「クイックサービスが一般的になっている当ブランドだが、もっとゆったりと時間を過ごす空間を作りたかった」と出店の経緯を話す。

Don Don Donki 鮮選寿司5号店

1人当たりの面積を広くするために席数を減らさざるを得なかったことや、フルサービスであることから回転数が落ちるほか、輸送コストの上昇など値上げ要因が多くあるが、山口さんは「一部のネタの価格を2、3割上げるほか、ゆっくり食べてもらえることで、客単価を1.5倍ほど上げて利益を確保していきたい」と意気込む。

ともに香港経済新聞より https://hongkong.keizai.biz/

 もう少しゆったりしたスペースでゆっくりと飲食を楽しみたい、と個人的にも常々思っていましたが、香港では日本円にして一万円、二万円の予算であればともかく手ごろな価格帯でそのようなニーズを満たすお店は皆無でした。そこで日本のお店がこのような取組みをしてくれるのはたいへんありがたいことです。わが意を得たり、というところですがきっと香港のお客さんも同じように感じられるのだと思います。


Be water, my friend.