「雲隠れ」「軟禁」「クーデター」などの憶測がSNSやYoutubeを賑わせていましたが、冷静な論客、ジャーナリストが指摘していた通り、習近平総書記はカザフスタン、ウズベキスタンの外遊後、初めて公に姿を現しました。おどろおどろしい内紛、政治闘争の果ての「失脚」を具現化した「軟禁」に想像をたくましくしていたせいもあり、個人的にはちょっとがっかり、という気もしました。
習近平氏の姿は習氏がこれまで総書記を務めた二期の間に成し遂げた功績を讃える展示の視察で確認されています。現実は「軟禁」とは程遠い、平和なものでした。あるいは三期目続投が「整った」ことが確認されるかもしれませんし、ますます鮮明になる北朝鮮化と言えるかもしれません。
この日、中国共産党は習近平総書記の指導の下で偉大な復興を果たした中国を讃える「選書」の発刊を発表しています。進む独裁者の神格化。アメリカで中国分析戦略センターの研究員をしているDeng Yuwen氏によると
- 政治指導者のことばを取り上げて作成するいわゆる“選書“というものは通常、引退時にまとめられるものだ
- 今回の選書出版の目的の一つは習近平の三期続投の正当性を強調することだ
- 習近平は毛沢東は「革命」、鄧小平が「建国」、江沢民と胡錦濤は「改革」と、それぞれの時代を定義し、自身のそれは全く新しい「時代」と区別した
つまり、過去の偉大なリーダーたちと比較しても自分はさらに別格に偉大である、というマーケティングなのでしょう。今後、経済の実態や国家財政・財務がさらに悪化し、ますます外交的に孤立を深めていくことが予想されますが、三期目が終わるころにはいったいどのような指導者として人々に記憶される存在になっているのか非常に楽しみではあります。
Be water, my friend.