水になるブログ

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流動性の罠に陥る中国

 中国共産党大会は10月16日から開催されることが決まりました。習近平総書記三期目の続投に向けて準備が整ったようです。中国は流石に、というかついにというか、「詰んだ」と言っても言い過ぎではないような状況に追い込まれてきました。

 不動産融資規制によって不動産業が停滞し、さらに資金繰りの悪化から建築工事が中断、それによって購入者のローン支払い中断。地方行政の財政悪化、公務員の給与削減、歳入不足を補うための罰金取り立て、IT企業と組んで法外な価格での教材販売。銀行の預金引き出し制限とそれに対する人民の抗議。コロナ封じ込めのためのロックダウンの継続とそれに対する人民の抗議。企業の人員整理と失業率の悪化。出生率の低下。

 「流動性の罠」は政府の景気刺激策としての金融緩和が利子率が低下に伴ってマネーサプライの増加に反して投資効果が得られない現象を指し、今の中国はこの罠に陥っていると言われます。よく知られているように日本も1990年代にこの状況に陥っています。この状況下においては人々が投資よりも現金を選好することが指摘されています。ポール・クルーグマンによると「金融緩和は、人々の期待を変えない限り効力を発揮しない。そして、期待を変えることは簡単ではない」。

 ジャクソンホール会議のパウエル議長講演であらためてインフレ退治のための利上げに臨む決意が表明されたため、株式市場は二ヶ月ぶりに暴落し、ドル高が進みました。8月に入って円高に反転した日本円も再び下落しました。人民币(RMB)も2020年8月以来の6.9元/ドルをつけました。ただし、日本や韓国、他のアジア諸国と比べても下落率は緩やかであり、生産機能の中国から他国への移転も進んでいく環境下で輸出競争力低下に拍車をかける可能性があると指摘されています。一方で資本流出も懸念されています。

sc.mp

 今後の中国の経済回復には日本のバブル景気の後処理のように10年単位の時間が必要になると思われます。「人々の期待」というのが一つ、大きなポイントになると思います。中国は強制的に行動を規制したり罰金を課したりするのは得意ですが、「北風と太陽」の太陽のように旅人のマントを脱がせるためにはどういう施策があるでしょうか。

Be water, my friend.