中国で李克強首相が任期満了間際のここへきて俄然存在感を示しているという内容をちょうど一ヶ月前に書きました。最近では習近平国家主席が「禅譲」し、李克強がその首を獲ったというファンタジーまで語られるようになりました。
いずれにせよ中国経済の停滞は日増しに顕在化し、米株式市場と同じく、一体どこまで下がっていくのか？という深刻な状況になりつつあります。5月25日、李克強首相は10万人を集めてビデオ会議を開催しました。アジェンダは経済回復の特効薬ですが、これをいち早く現場に伝えたいということでしょう。
経済支援策については今週初めに33の方策パッケージがすでに発表されており、内容はインフラ建設の早期実行、企業への貸付拡大、税免除枠拡大、自動車販売奨励策、などが含まれます。また、李首相は中国共産党が掲げた今年の経済成長目標の5.5%は達成できないかもしれないと言及しました。これは異例中の異例のことです。それだけ現在の中国経済の危機的状況が深刻だということの表れでしょう。
この会議のメッセージは経済安定化の実行方策などではなく、方針に従って職務を全うせよ、というものだ、と民生証券のアナリストは言っています。国務院が12の省に調査チームを派遣して政策の実行をモニタリングするそうです。第二四半期の経済指標が地方幹部の最重要評価項目ということです。
しかしコロナ封じ込めについては一切触れられていません。全ての経済活動を停止させている都市封鎖（あるいは居住区封鎖）を継続したままではどんな支援策も効果を上げることはできないでしょう。また、急激な回復を要求されてインフラ建設などを性急に進めることによって引き起こされる安全問題や収賄などの副作用も必ず発生します。秋の党大会に向けてますます目が離せない状況になってきました。
Be water, my friend.
