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恒大集団 中国政府 危機に対する準備

 決して賞賛するつもりはないのですが、この国の政治社会体制は他の先進国、民主主義国家が絶対にできないだろうと思われることができてしまう、ということが今回もまた起きようとしています。これが結果的に功を奏するかは現時点でわかりませんが。

 今回ご紹介するWSJの記事によりますと、恒大のデフォルト危機に対して中国政府はbail-out(企業救済)をしない方針のようです。そのかわり、各地方政府、各地の国有企業を通じて社会不安に発展する事態を最小限回避するべく指示が出されているということです。

www.wsj.com

 恒大集団の野放図な経営と財務体質がとうとう限界を迎えた、という局面ですが恐ろしいのは、中国の不動産デベロッパーというのはどこも似たりよったりなわけで、大手デベロッパー、10大デベロッパーなどと位置づけられる同業者の中には恒大よりもひどい財務状況の企業もたくさんあることです。つまり今回の恒大のデフォルト危機に対して政府は救済するのか、どう対応するのかがひとつの焦点になっていますが、そもそもこれは始まりの始まりなんですね。

 不動産そのものは中国のGDPの7.3%を占め関連する産業も含めると経済の原動力に対して1/3の貢献があると言われています。また恒大集団の事例でも中国全土で1300の開発プロジェクトがあるということですが、中国で1、2を争い、7兆円もの売上規模があるわりにはたった1300?というふうに思われる向きがあるかもしれません。ただ中国のマンション開発の規模はひとつひとつが街をつくるようなスケールなので、そこは日本の開発の規模感とはだいぶ異なると思います。

 日本の不動産開発は鉄道や交通機関がまずありきで、それを前提に住宅、商業施設を展開していくのですが、中国の場合は空いている土地があればマンションを開発し、それにしたがって教育施設や商業施設が備わっていく、というやり方です。従って、自身の経験でもありますが工事中の現場に行く場合、足を確保するのが困難だったりすることがよくありました。自家用車がよく売れるわけです。また、バスの交通網は比較的よく発達していると思います。 

 恒大が破産した場合、社債償還不履行、契約済みマンションの引き渡し不能、建設会社や業者への支払い債務不履行、労働者への賃金不払い、従業員の職場喪失、などなど全国で広範囲におよぶ被害が発生します。政府としてはこれらが引き金となって大きな社会不安や政治的な活動を引き起こすことをなんとしても避けなければなりません。

 そこで地方政府は財務と法務の専門家によるチームを組織化して各地方ごとに恒大社の財務状況を把握し、必要に応じてその地域の国有あるいは私営のデベロッパーに住宅建設および販売を引き継がせ、民衆の抗議活動を監視する実行部隊を立ち上げる、といった動きが始まっています。

 

Be water, my friend.

 

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