水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

中国の「小康」 ややゆとりのある社会 (2)

 どう表現するのがしっくりくるのか、頭をひねってしまう内容ですが、ともかく中国のSNS上でちょっとした炎上を引き起こした事例です。これも目覚ましい経済発展や激しい競争社会が一段落して調整局面が必要になっている中国社会のひとつの側面を映していると思います。子を思う親の気持ち、といえばわからなくはないですが。

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 Ding Pengというのがこの事例の主役で、著名な投資家なのだそうです。私はこの人の存在を知らないので、どのくらいのスケールかは別として、所謂「成功者」なのでしょう。南京の東南大学で学位を取得し、上海の交通大学で博士号をとったエリートです。ご自身のこれまでを振り返って、過酷な人生を送ってきた、と述べています。若いころは勉学に励み、30歳になってもまだ続けていた、と。

 簡単にしか紹介されていないので、これだけ聞くと、特に珍しくもないというか、本人にとってどれだけ過酷な生き方であったのかはわかりません。しかし、この人が言っているのは、自分の子供には同じような生き方をしてほしくない、ということなのです。一生懸命勉強して、有名大学で博士号をとって、社会的な地位や経済的豊かさを獲得した結果、得たものはなんだったんでしょうか?ここも記事では触れられていませんので、いったいなにがそこまで思わせるのか、は不明です。

 ともかく、息子にはa low lifeを望んでいるのだそうです。それはともかく、SNS上で拡散された内容は十代の息子に対して、ポルノを観て、多くの女の子とデートして、大学生になったら子供をつくってほしい、といったものでした。それをみた人々は不快感を示しました。「自分が勉強したり努力してきたことは結局子供を女たらしにするためだったのか’」「子供のことを家の繁栄を維持するための道具としてしかみていない’」などです。

 私は、Dingが拡散した内容にたいしてはあまりなんとも思いませんが、むしろこの情報が拡散された結果に対して二つのことをあらためて感じました。1)中国の人々は成功した人の揚げ足をとるのが大好き 2)仲間内の情報を他者に拡散する密告体質

 そして、この父親本人から思うことは、やはり今の中国社会には「小康」が必要だということです。

(終わり)

Be water, my friend.