水になるブログ

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中国の「小康」 ややゆとりのある社会 (1)

 中国の習近平総書記は、2021年7月の中国共産党創立100周年にあたり、ややゆとりのある社会を意味する「小康」を全面的に達成したと宣言しました。小康は、改革開放政策により今日の中国の礎を築いた鄧小平氏が唱えたもので、2002年の第16回共産党大会以降、歴代政権が実現すべき最優先課題としてきました。
 私は2007年に中国に派遣されて、現地の駐在員として三年間、そのあと帰国をはさんで再度四年間主に上海で勤務をしました。2007年は胡錦涛政権時代で、「和諧社会(調和のとれた社会)」の実現を掲げていたのが印象に残っています。そのときの上海はちょうど、前の年に上海市長で党委員書記を兼務していた江沢民派の陳良宇が「上海市社会保険基金事件」が起きて政治的闘争、粛清の緊張感が漂う空気感がありました。
 また一方では、高速鉄道が上海-北京間で営業運転を開始、翌年の北京五輪、さらに2010年の上海万博に向けて、さながら高度経済成長を迎えた日本を思わせる経済的活況とインフラ構築の進展を直接目のあたりにすることができました。会社で採用する現地社員の給料も毎年上がっていきました。そのときの二十代、三十代の彼らをみていると、右肩上がりの線から落ちたら社会的な敗北者になる、というような焦燥感を感じるときがありました。
 今は、「寝そべり族」、「躺平主義」といわれる時代になりました。住宅や車の購入、結婚、出産を早々にあきらめ、質素にのんびりと暮らそうという若者が増えてきたというのです。急成長のあとの調整局面、と考えればそれも自然という気もしますし、「小康」を体現しているという見方もできます。
 もっとも、「小康」が目指す「ややゆとりのある社会」が具体的にどう定義されるのか、はよくわかっていないのですが。
(続く)
Be water, my friend.