現在、世界経済および株式相場に不安を与えるいくつかの要素のうちのひとつは中国の電力供給不足です。
私は香港で仕事をしていますが、仕入先は多くが大陸、広東省に所在しており年末に向けてまとまった発注を控え、納期・価格に大きな不安を抱えています。
今回の電力不足は北京のカーボン排出量削減のコミットメントと石炭の不足という二つの性質の異なる要因から起こっています。後者については電力料金が固定化されているため事業者がコスト増による利益率の悪化を嫌って供給を絞るという構造になっています。
これに対する広東省の対応をSCMPの記事でご紹介します。
【覚えておきたい用語】
- thermal coal: 一般炭、燃料用の石炭
- coking coal: コークス用炭、工業加工用の原料炭
- NDRC: the National Development and Reform Commission、国家発展改革委員会
- 南の製造業の拠点である広東省では10月1日から需要のピーク時間帯の電力料金を25%引き上げることにした
- ただしこの値上げは企業に対してのみ適用され、一般家庭には適用されない
- 需要ピークは11:00から12:00、15:00から17:00の三時間
- 電力料金の引き上げは電力不足を補う手段になり得る
- なぜなら電力料金が固定化されているため、電力会社は記録的な石炭価格の高騰によって利益率が悪化するため、電力供給に消極的になっているからである
- 地方政府は上下10%以内で電力料金を調整することを認められており、いくつかの省では実際に10%の値上げをした
- それ以上の調整は通常考えられず、実施する場合は中央政府とのやっかいな交渉ごとになる
- 北京政府はこの料金問題に柔軟に取り組む姿勢をみせており、NDRCは電力料金を受給にあわせて調整すること認める発言をした
- しかし具体的は改訂案は発表されていない
- 一方で北京のカーボン排出量削減目標達成のため31の地方政府のうち20の省が電力調整を課せられている
- 中国南方電網は先週日曜日、地域の住民や企業に対して電力の使用を控えるよう通知した
- NDRCは電力消費量の年度目標を変えないので広東省の電力調整は今年いっぱい続くだろうとの見方がでている
Be water, my friend.