昨夜は米国株主要指数でナスダック総合指数が一人負けでした。
GAFAMの構成比がもっとも高い同指数はこの一か月でみても△4.08%と、ダウ工業指数、S&P500と比べても下落幅が大きくなっています。
長期金利の上昇にともなってグロース株がより売られやすい状況になっていますが、今回のWSJの記事を確認し、現状を下記5つの内容に整理してみました。
1. テック株に今なにが起きているか
2. 投資家の市場に対する見方
3. 株価下降局面と連鎖的な売りの力学
4. 巨大テック企業のインパクト
【覚えておきたい用語】
- economically sensitive stocks :景気敏感株、景気循環株(cyclical stocks)も同様
- reopening trade :コロナ感染拡大によって実施されたロックダウンや制限の解除によって経済活動が再開し、以前よりも好調な経済となることを前提とした投資姿勢
- underlying shares :オプション取引における現物株
1. テック株に今なにが起きているか
- 今週に入ってMicrosoft、Alphabet、Nvidia、の株価は5%かそれ以上下落した
- 火曜日にはApple、Amazon、Facebook、Netflixとあわせて7社で3150億ドルの時価総額が吹き飛んだ(昨年10月以来の下げ幅)
- S&P500は9月に入って△3.6%下げ、月間として今年最大の下げ幅を記録
- 長期国債の利回りはここ数ヶ月で最速のペースで上昇し、1.5%を超えた
- 9月22日の週にテック株の投資信託が12億ドル売られた
- およそ290億ドルがこの週に米国株のファンドから引き上げられたが、この3年半の間で最大だった
- ずっと続いてきた資金流入増加が一旦停止した
2. 投資家の市場に対する見方
- 利上げの観測に対して投資家が反応した結果、今回のような動揺が発生している
- FRBは金融緩和策の縮小(テーパリング)を11月にも開始、来年には利上げも、との見解を示した
- コロナウイルスとサプライチェーンの混乱による経済の停滞がさらなるインフレーションと利上げを招くとの見方もある
- 最近の債権利回り上昇は低利回りとテック企業の市場価値の増加が継続する、という見方を逆転させた
- 今年の初め、債権利回りが上昇したときに投資家は景気敏感株を選好したが、その後、夏には何十億ドルもの資金がテック株に投入された
- これはreopening tradeが減少するのと歩調をあわせていた
- テック株に群がってきた投資家は現在、それを見直さなければならくなったのだ
3. 株価下降局面と連鎖的な売りの力学
- 多くの投資家は数ヶ月にわたって株価が高騰してきた結果、この秋にもくるであろう調整に対して身構えていた
- S&P500は2018年2月からの最長記録以来となる「5%以上の下落がない期間」が一年近く続いている
- 中国恒大のデフォルト問題や連邦政府の債務上限問題なども市場の下ぶれを招くセンチメントを形成し増幅する懸念もある
- 多くのテック株はオプション取引による出来高の爆発的増加の恩恵にもあずかってきた
- 投資家にオプションを販売する値付け業者はふつう、ヘッジのため現物株を購入する
- そのことによって株価はさらに上昇圧力を得ることになるが、いったん下降局面となれば、まったく同様の力学が売りを強く促すことになる
- ボラティリティの増加と株式投信からの資金引き上げがトレンドを追う投資家にとって売りの引き金となる
- 株と債権が続けざまに下落し、取引が清算されるとさらに他の投資家にもポジションの解消を促すことになる
- こうした連鎖的な売りの兆候が強い懸念を呼び起こすのは、業績の悪い企業と同様業績のよい企業もその被害を被るからだ
4. 巨大テック企業のインパクト
- 結局MicrosoftやAlphabetのような巨大テック企業の株を選好し、債権利回りが上昇している現状でも他の選択肢は見あたらないという意見もある
- Microsoft、Alphabet、Amazonのような企業が主要な指標で相当な割合を占めており、その株価が大きく下落しようものなら株式市場に与える影響は甚大だ
- 今週、エネルギー株が3.9%上昇し、金融株はほぼフラットだがS&P500は△2.2%も下落している
Be water, my friend.
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