水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

中国のブラック企業

 イーロン・マスク氏がツイッター社を買収した際に「競争が激化する世の中で成功するためには、極めてハードコアになる必要がある」「これは集中的な長時間労働を意味する。並外れたパフォーマンスだけが合格できる」などのブラック企業を標ぼうするメッセージを発して話題になりました。前時代的と否定的な見解とともに賛同する声も少なくなかったそうですが、私も賛同派です。かつては自分が勤めている企業がブラック企業だったこともあり、そうした経験からも社員が他の企業、特に競争相手と同じように働いて傑出した成果を出す企業になるということはないと思います。ただし自分にあった働き方は大事にしたいですね。

 米国の巨大テック企業で大規模な雇用解雇が相次いでいますが、この記事で取り上げられているMark劉はカナダでAmazonに勤めていたエンジニアです。いったん祖国に戻り、しばらくは祖父や家族と時間を過ごしながら次の職を探すのですが、中国で勤めることは考えていないようです。同様にカナダやアメリカでテック企業のレイオフに遭った多くの中国人技術者は劣悪なワークライフバランスやより激しいストレスに見舞われる就業環境を理由に中国企業で働くことを躊躇しているようです。

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 中国のテック企業を中心に、996と言われる9時から21時まで週6日働くスタイルが定着(?)したのはバブル時代の日本で流行った「24時間働けますか」というCMを想起させました。Mark劉の場合、2014年に大学を卒業したあと上海で国有銀行に就職した際に上司から「強制」残業46時間を明確に言い渡されました。46時間はともかく「強制」とはなかなか強烈ですね。月の残業が46時間に達しないと非難され、翌年からは46時間が50時間になったそうです。彼は会社がとにかく従業員を使い倒し、金のための奴隷になった気分だと言います。

 半導体をはじめとするテック業界が西側諸国から締め付けを受けている状況下で中国企業は好条件で技術者をひきつけようとしています。米国西海岸の半導体チップエンジニアとして働いているNeo(仮名)は中国に帰るべきか自問しますが、応えはNoです。「仕事の負荷は今より増えるが、収入はそれほとでもなく、若い技術者が中国に戻る例を聞いたことがない。」父親になったばかりのNeoは朝のミーティングを自宅で済ませてから自分と赤ん坊の朝食、犬の散歩をしてオフィスに赴きます。「こういう働き方は中国では考えられない。ここでは問題が起きれば犯人捜しをするのではなく誰もが解決策に集中する。オフィスにできるだけ長く残る競争をするものもいない。」

 中国では躺平(寝そべり)族といって激しい競争や無理をしてマンションを購入することを諦めて、お金も奥さんもないけど静かに生活したいという若者が増えているそうです。私自身も7年間そこで暮らし、仕事をしましたが本当にたいへんな社会だと思います。

Be water, my friend.