水になるブログ

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香港のそごう百貨店

 百貨店という業態は日本でもかつてのような存在感や意義が失われていると思いますが、ここ香港でもかつて日本の百貨店が軒並み進出、出店していた時代がありました。香港島の繁華街である銅鑼湾に大丸、そごう、松坂屋、三越、西武が、九龍の尖沙咀には伊勢丹、そごう、三越、東急、といった具合です。1990年代にそのほとんどが撤退し、今残っているのはそごうです。そごうは銅鑼湾と尖沙咀に計二店舗、旧空港跡地の啓徳に三店舗目の計画がありました。(この三店舗目は計画が実行されているか、不明です)

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 そごうと言えば、2000年にそごう本体が経営破綻していますが、その後、香港の利福國際グループ (Lifestyle International Holdings)に売却されて今に至っています。1983年に株式会社そごうの100%出資現地法人として設立され、1997年の香港返還後の不動産価格高騰で他の日系百貨店が家賃負担に耐えきれず撤退する中、同百貨店は生き残りました。そごうは他社と異なり、自社ビルで運営していたのだそうです。
 イオンがデベロッパー事業を展開するように、百貨店という業態も本質的には不動産デベロッパーの要素が多分にあると思いますが、中でもそごうはデベロッパー的な性格を前面に打ち出した百貨店でした。香港での出店当時の事例をみてもその性格が現れているのではないでしょうか。
 利福國際グループ (Lifestyle International Holdings)はThomas Lau(劉銮鴻)という人物が董事総経理として経営しており、上海でも久光百貨の名前でそごうと同じように百貨店を経営しています。地下鉄2号線静安寺駅にあり、私が上海に赴任した2007年当時としては日本の食料品が豊富に揃えてあり、重宝したものでした。
 今回、Thomas Lau氏は利福國際の香港市場からの上場廃止を決めて、すでに議決権の94%の支持を得て12月にも実行されるということです。利福國際は2004年に香港証券市場に上場していますが2019年に売上が減少、2021年には若干回復したものの、2018年の53%程度、という落ち込みです。銅鑼湾のそごうと言えば、土日には人があふれかえるほどの盛況で、今でも人の入りは決して悪くないように見えますが、本土からの旅行客激減の影響が大きいようです。

sc.mp

 今後も利福國際の経営方針や経営実態には大きな変更はないとのことです。経済的に中国と一体化された香港はますます混迷を深める中国の政治・行政、外交の影響を受けての景気や株式市場に対するリスクからいったん守りに入る、という判断なのでしょうか。そごうはたまに食料品を買う程度の利用ですが、仕事の面では改装工事を受注した実績もあり、今後もがんばってほしいと思います。
Be water, my friend.