水になるブログ

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中国における法の支配とは

 世界正義プロジェクト、と聞くとなんだか香ばしい印象を受けますが、これは真面目な団体です。「法の支配ランキング」を発表しています。独裁者や特定の集団などの恣意的な権力行使が法によって排除、制限される程度を評価したもので、対象は139の国または地域です。

 香港はいまだに中国とは別建てで独立して評価されており、19位です。やはり、高い評価を受けています(ちなみに日本は15位)。イギリスのコモン・ローの下で統治された歴史は伊達ではありません。そして中国は98位でだいたいイメージ通りではないでしょうか。共産党、あるいは権力者がルールだと言ってよいでしょう。

worldjusticeproject.org

 ここ最近、コロナ封じ込めと経済立て直しの相矛盾するinitiativesによって現場が翻弄されているように見えますが、また一つ興味深い発言がありました。中国政法大学のZhao Hong教授は地方政府が展開しているPCR検査実施の標準化について、法律の観点から問題提起しました。検査実施命令に従わない場合は処罰を受けるという通告に対して中国の法では認められない、あるいは個人の権利侵害にあたる可能性を示唆しています。

www.scmp.com

 それを言うなら上海で起こったことは明らかに行政の違法行為でしょう、今更何を、と思うわけですが、あれはあれで上海市は居民委員会に責任を押し付けてほっかむりを決め込む面の皮です。

 不思議なことはZhao教授の記事は今だwebニュース媒体やWeChatで閲覧が可能ということです。またこの内容は6月4日に国家衛生健康委員会が地方政府が過度な感染拡大防止策を課すことを禁止する通知とも呼応しています。

 もっと不思議なことは法の支配ランキングで98位の中国で法に基づいて行政行為の是非を問うているファンタジーです。ただし法律も、ある権力者が自身の利益のためにそれを利用しているだけだという前提がそこにはあるだけです。中国は人治国家だと言われますが、その気になれば法律は武器になるというわけです。いずれにせよ、このような一コマを見ても、熾烈な政治闘争が繰り広げられていることを想像します。

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