水になるブログ

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中国株 Tencent 国有企業で使用制限の謎

行方不明を騒がれた世界ランクのテニスプレイヤー彭帅が元チャイナ・セブンとの関係を告発したツールは微博という Sina Weibo(NASDAQ上場、WB)が運営するミニブログサイトでした。中国国内で7億人以上のユーザーが利用しており、国外ではビル・ゲイツ、木村拓哉などもアカウントを開設しています。

 今回の事件のように共産党にとってタブーな事案、固有名詞などが含まれれば即座に削除されます。つまり、当然ですが、検閲されています。ちなみに今回のケースは投稿後、約20分後に削除されたと言われており、通常であれば機械的に、即座に削除される(またはそもそも投稿ができない)しくみになっていることから考えて、背後に政治的意図があったのではという憶測も流れています。

 片やTencentが開発、運営するインスタントメッセンジャーアプリがWechat(微信)です。Facebookアカウントでも登録が可能で、登録ユーザーは同社が公表していた2015年までで11億人以上、20以上の言語版、200の国・地域をカバーしています。2013年にはWechat Payという決済サービスも開始し、現在では日本でもLINE Payと提携しています。私も中国に駐在していた2012年ごろアカウントを登録し、利用しています。

 Wechatは中国国内ではほぼすべての人がこれをつかってコミュニケーションや日常生活に利用しています。

 さて今回のWSJの記事では少なくとも9社の国有企業で業務用に設定したWechatのグループ機能を停止、削除するよう命じた、というものです。24日には中国工業情報化部がTencent社に対してアプリの更新または新規投入には事前の政府承認を必要とする新たな規制が発表されています。

 これは些か不可解です。国有企業が社員に対してメッセンジャーアプリの使用制限を求めることは理解できますが、どのような理由で、そしてなぜ今なのでしょうか。もし国家安全上や企業の情報漏洩防止ということなら民間企業にも同じことが適用されるはずです。あるいは国有企業の幹部にとって身の危険につながるような情報の拡散を案じてのことでしょうか。

 Wechatはワクチン接種履歴を記録する機能によって今回のCovid-19の感染拡大にも貢献しています。個人をつなぐ社会インフラとしての利便性や生産性の向上を実現すると同時に社会主義国家にとっての情報管理、個人管理ツールとしてのインフラは今やモンスターと化してさまざまな立場の安全を簡単に脅かすツールとなったようです。www.wsj.com

  今週に入って株価は6%下がっています。うーん。

Be water, my friend.