水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

米国株・中国株 先週の動き 2022年1月10日~1月14日 警戒感続く

 先週一週間の指数と保有資産の値動き、損益率を報告します。

期間:2022年1月10日~1月14日

概況:

  • 米国10年国債利回りは1.8付近で安定
  • 米国株式三指数はダウ工業平均が△0.9%、S&P500、ナスダック総合指数はともに△0.3%
  • 米CPI、PPIはそれぞれほぼ予想どおりの前年比+7.0%、+9.7%
  • 米新規失業保険申請数は前回より若干増加の230千件
  • 米小売売上高は予想△0.1%を大きく下回る△1.9%
  • 香港ハンセン指数が好調、+3.8%

保有資産実績:

 VTI、QLDを中心に小刻みに買い増しし、投入資金は+6%増加。コア投資Bで+12%、レバレッジETFは+23%増やした。

 含み益は合計+3.2%で△0.6%下落。コア投資A、コア投資Bが下落、IPO銘柄も軟調。香港株が好調、+4%。 

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  • コア投資A:グローバルREIT、米国株がマイナス
  • コア投資B:VTI△0.3%(+20%追加投資)J&J△3.7%、AT&T(+20%追加投資)+4.3%、VDEに新規投資
  • レバレッジETF:SOXL+4.9%、QLD+0.5%、TMF+0.1%、(それぞれ+15%~30%の追加投資)
  • IPO銘柄:ドクシミティ(DOCS)△2.5%、ゾミトリ(XMTR)△1.7%、CSディスコ(LAW)△4.6%
  • 香港株:0142FP+7.5%、0066MTR+1.3%、0700Tencent+4.7%

 

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香港 違法集会スキャンダル(3) 魔が差した野心家

 見るからに派手好き、野心家、というイメージです。

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flamboyant(つまり派手好きな)で、政治、ビジネスにコネクションを持ち、議員になるという野心があった、と解説されています。違法性を疑われている1月3日の誕生日パーティの主役である、Witman Hung氏です。およそ170名が参加したと言われているこのパーティは、自身が企画し参加者を招待したものです。

 この人を知る人はWitman氏をParty animal、と表現しており、カラオケが好きで、今回のようなパーティをよく催していたそうです。この写真のように、パープルがお気に入りで、外部に露出する写真にはいつもパープルを身につけ、誕生日パーティでは参加者も全員でパープルのマスクをして集合写真に収まっています。

 このパーティのあと、二名が感染していたと伝えられており、Witman氏を含む170名が21日間の感染隔離のためPenny's Bay camp施設に送り込まれました。

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 気持ちよさそうに歌っています。このときは、まさかこんなことになるとは予想もしていなかったでしょう。しかし、なぜ予想しなかったのかは大きな疑問です。

 Witman氏は現在、深センの前海区の代表として中国政府の国家プロジェクトである大湾区構想(広東省、マカオ、香港、のベイエリア統合経済圏)の実務を担当しています。ITの専門家としてかつではAT&Tなどでも活躍し、現在、4つの上場企業の社外取締役にも就いています。親中派のWitman氏は香港立法議会(Legco)に打って出たいという野望がありましたが、建制派(pro-establishment camp)の支持を充分に得られずに断念した経緯がありました。

 そこで今度はねらいを全人代の代表に鞍替えし、そのポジションを得ることができました。IT業界をはじめとする彼のネットワークは、2014年に深セン前海政府が管轄する非営利団体のポジションを得てさらに拡がっていきました。香港理工大学で数学、統計、コンピュータの学位を取得した後、中国人民大学で法律の学位も取得するなど、勤勉なエリートを想像するキャリアの持ち主です。

 立法議員の野望は叶わなかったが、ある程度の成功を収めて、調子に乗っていたところに魔が差したのでしょうか。SCMの取材に対してWitman氏は「とても忙しくて前海の機関を辞するべきがどうか、考える暇もない」と答えました。

 自分から辞める気はなさそうです。

(続く)

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香港 違法集会スキャンダル(2) 反腐敗の腐敗

 腐敗、役人の汚職は中国本土では文化と言ってもよいほどの風習、習慣です。秦の始皇帝がこの広大な大陸を統一したときも、地方の行政官に給料はなく、管轄の行政区から税金を回収し、中央へ納める分のほかに自分の取り分を徴収する、という方式ですから背景としては筋金入りです。このへんが3000年の歴史の厚みです。ちなみに古代エジプトの徴税役人は厳しく管理され、私腹のために規定以上の徴税を課した役人は鼻を切り落とされたと言います。

 香港は違います。途中でお父さんがイギリス人になったので、躾が違います。そして、北京の「お父ちゃん」の年収は13万6620元(2015年人民日報)ですが、キャリー林行政長官の報酬は468万9600香港ドルです(2020年)。欧米の元首と同等か、むしろ上回る水準の年収です。政府の報酬制度は汚職の温床となる役得や特権を前提にはしていないわけです。

 1974年、英国統治下の香港はIndependent Commission Against Corruption(ICAC、反腐敗独立委員会)を設置しました。汚職の摘発は大陸では政治目的でしかありませんが、香港のICACは本来の目的に沿って活動し、効果を上げていると思います。香港はお金の扱いに対しては神経質なところがありますし、法令遵守の意識も高いと思います。私のやっているような商売は、デベロッパーから受注をして回収するのですが、入札のプロセスや請求・支払いの手続きなど、非常に高い透明性、公平性が保たれていると感じます。大陸とは大違いです。

 しかし、この度やらかしてしまった感染防止に関する法律に抵触した疑いのある誕生パーティにはICACの長官も参加していて世間を驚かせました。このパーティには200名近くの参加者があったと言われ、その中には合計20名の政府の役人と議員が含まれていました。行政長官はこの事件が起こった1月3日から4日後の1月7日に13人の政府関係者を対象とした捜査を実施したと発表しましたが、この中にICACのSimon Peh長官の名前があったのです。彼らは香港ディズニーランドのとなりにあるPenny Bar Campと呼ばれる検疫隔離施設にマイクロバスで連行されました。

 Simon長官は1月5日に、国連の関連組織であるInternational Association of Anti-Corruption Authorities(IAACA、国際協会反腐敗組織)の重要ポストへの選出が決まったという記事がありました。北京と香港の両政府の承認のもとでこのポストへ立候補することが先月にはすでに公表されていました。

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 この組織も例によってトップ層に中共から人選されており、果たしてどれだけの実質的価値がある活動なのかわかりませんが、Peh氏にとっては少なくとも対面的に箔がつくポジションだったのではないかと思います。辞退、のような展開になるのかはわかりませんが注目していきたいと思います。おそらく自分から身を引くようなことはしないと思いますけど。

(続く)

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