終わりよければすべてよし、と言いますが、この人も頭が痛いでしょうね。任期満了間近、親分のところへも挨拶に行った、実際どう評価されているかはともかく、貢献を称える言葉をもらった、オミクロン感染がじわりと増えてきた、春節、五輪を控えてセンシティブなタイミングになってきた、そこへどかーんと自分の身内から爆弾が投げ込まれたようなものです。
そして香港は、なんだかんだと言っても大陸とは異なる透明性があるのです。政府が納税者に対して安全維持のための規制によって各種の不便を強いる一方で、身内からそのルールに従わないものが出てくるといったあってはならない(実際には、バレてはいけない)事件が発生し、それが公然と(あたりまえですが)報道されてしまうのが香港が今でも保っている健全性と言えます。大陸ならSNSなどで個人が発信するものはあっても、このような政府関係者のスキャンダルは(政治目的がない限り)堂々と報道されることはありえないでしょう。
しかも、今回の主役は北京の全国人民代表大会(全人代)の香港選出代表です。北京の親分もかんかんじゃないですかね。この全人大香港代表はWitman Hung(洪為民)という人で、親分が肝いりで進める広東省深圳の経済開発区の調整を担当しています。今回、53歳の誕生日パーティが催され政府の役人や議員らを含む170名が香港政府のとなり街のWanchaiにあるスパニッシュ・バーに集結しました。
集会の人数制限、公共の場所でのマスク着用、感染経路捕捉を目的とした"Leave Home Safe"アプリの使用、などCovid-19感染拡大防止のために香港政府が定めている各種の規則をことごとく破っている疑いをもたれています。折しもオミクロンの拡大懸念から夜間の外食を禁止するなどの規制強化が1月7日金曜日から実行されることが発表されたタイミングでの今回の報道でした。
市民もかんかんです。
(続く)
Be water, my friend.