水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

米国IPO三銘柄決算報告 DOCS、XMTR、LAW

 保有している米国IPO(2021年)銘柄のドクシミティ(DOCS)、ゾミトリ(XMT R)、CSディスコ(LAW)が決算報告しました。結果、三社ともに増収、EPSが予想をbeatしました。決算発表当日の終値でDOCSは+33%、LAWは+19%上昇し、XMTRは反対に▼14%暴落しました。XMTRは通期予想を下方修正したことから嫌気されたようです。

 年初来からの値動きをS&P500と比較すると、DOCSが8月以降のアンダーパフォームからだいぶ盛り返し、XMTRは逆にオーバーパフォームからちょうどS&P500 に並ぶ水準となりました。LAWは8月の大暴落からなかなか浮かんできません。

DOCS (11月11日)

当四半期結果

  • 売上高:$102.2M(前年比+28.8%)
  • EPS:$0.17(前年同期$0.19、予想$0.16をbeat)

通期予想

  • 売上高:$424M - $432M(前回$424M - $432M)
  • EBITDA:$178M - $186M(前回$178M - $186M)

株価:発表前日の終値$26.33から$34.94、+33%の暴騰

 

XMTR  (11月10日)

当四半期結果

  • 売上高:$103.6M(前年比+83%)
  • EPS:▼$0.11(前年同期$▼$0.23、予想▼$0.22をbeat)

通期予想

  • 売上高:$386M - $388M(前回$395M - $400M)
  • EBITDA:▼$36.5M - ▼$35.5M(前回▼$33M - ▼$31M)

株価:発表前日の終値$50.42から$43.12、▼14%の暴落

 

LAW (11月10日)

当四半期結果

  • 売上高:$34.5M(前年比+15%)
  • EPS:▼$0.24(前年同期▼$0.17、予想▼$0.31をbeat)

通期予想

  • 売上高:$132M - $136M(前回$132M - $136M)
  • EBITDA:▼$54M - ▼$50M(前回▼$60M - ▼$56M)

株価:発表前日の終値$7.99から$9.48、+19%の上昇

Be water, my friend

Amazon Musicのアップセルと大阪のおばちゃん

 気がつくとAmazon Music Primeにシャッフルなる機能が付加されており、頼んでもいないのに勝手に再生曲がシャッフルされて自分が聴きたい曲が指定できないようになりました。悪質なことに、シャッフルは特定のアルバムやプレイリストを飛び越えて選曲され、しかも解除ができません。

 しばらく放っておきましたが、手が空いたときにGoogleで検索してみるとやはり「不満続出」などの評価とともに話題になっています。要はAmazon Music PrimeからAmazon Music Unlimitedへのアップセルなのですが、既存のサービスを陳腐化させることによって新しいサービスに追加の費用を請求する手口は巧妙と言うより悪質と言った方が消費者の感覚に近いと思います。もちろん法律に反している訳でもありませんし、ユーザーは利用するもしないも、料金を払うも払わないも選択することができます。NHKの受信料を払うことに比べれば合理的です。(比べること自体意味がありませんが)

 投資家の心理と行動を説明するのにもよく使われるプロスペクト理論は人が受ける心理的影響は利益を得るときよりも損失を被るときの方がその程度が大きい、というものです。ずいぶん昔ですが、青森からりんごを売りにやってきたトラックが試供品を宣伝すると、あっという間に取り囲まれて本来売るはずだったりんごも全て集まった人々が持ち去ったという話がありました。この場面は大阪で、関西人(というより大阪のおばちゃん?)気質を説明するエピソードだったのですが、云はく「もらって得というよりは、もらわないと損、という気持ちが強い」とのことでした。なるほど、と感心したものでした。

 いずれにせよAmazon Music Primeで得られていた便益が損なわれることに対する心理的なダメージを利用してアップセルを誘導する手法は追加の料金を払うにしても気持ちのよいものではないですね。

 Unlimitedにアップグレードし、かつファミリー共有にしようかと決めて家族に連絡をしたところ、なんとApple Musicに登録しているとのこと。よく調べてみると、Amazonの場合はファミリーが利用するには同一国に居住していなければならないという制約もありましたが、Appleにはこの制約はありません。結局Apple Musicのファミリープランに登録することにしました。AmazonとApple、今回の決算でも明暗を分けていましたが、ここでもAppleに軍配が上がりました。(こじつけです。)

Be water, my friend.

中国の輸出がマイナスに

 アイリスオーヤマが一部の商品について生産を中国から日本へ移管するという記事を読んだ時、時の流れを感じずにはいられませんでした。国内生産に切り替える要因の一つに中国の人件費高騰が上げられていました。私が勤める会社は2000年から中国での生産を開始しました。当時、人事部門の責任者は当時の労務費で勤勉に働く現地の従業員を見て目を細めながら一方で日本の従業員に対して、その後進んでいくであろう社内における競争について危機感を示していたのを覚えています。

 中国からの生産を移転する理由はゼロコロナ政策に代表されるような一党独裁政権特有のリスク、純社会主義への回帰などから、先行きに対する不透明感が強まり、その結果生じるネガティブなセンチメントが大きな要因だと思います。あるとき突然に政策や法律が変わる、公共機関や電気などの利用が停止される、というのは以前からもありました。大きなイベントのために予約していたホテルが急にキャンセルされる、一時的に物流が止まる、今年から従業員を採用するときには有期雇用契約ができなくなる、などということはあったのですが、今起こっていることは比較にならないほど大きなスケールで、企業活動に与える影響は深刻です。

 海外に移転した生産拠点を再び国内に移転することを”reshoring”と言うのだそうです。経営コンサルティングファームのKearneyが報告している最新のReshoring Indexではアメリカのreshoringは2年連続で後退しています。しかしCovidー19、米中の貿易戦争、物流の混乱などを経て企業のマインドはより安定したロジスティックの確保をのため”the lowest cost”から”the best cost”へ戦略転換しているようです。メキシコや中南米、カナダを含む近隣諸国から材料や部品を調達し、最終組み立てを米国内で行う、といったより広義のreshoringが積極的に検討されています。

www.kearney.com

 米企業の中国依存の低下も明らかです。iPhoneのインド生産が今年5月から9月で1兆ドルを超えたと言われていますが、中国からアジア諸国への生産シフトが進み、工業品の輸入額に占める中国のシェアは2018年の66%から2021年には55%まで減少しています。中国が発表している統計によると、今年に入って貿易輸出5月から7月までは前年比で16%から18%の増と好調でしたが8月から鈍化し、最新の10月統計はついにマイナスとなりました。

Be water, my friend.