「アメリカの家に住み、中国人のコックを雇い、日本人の奥さんをもらう」という例えがありましたが、昭和の時代、日本の住宅事情は「ウサギ小屋」というありがたい評価を受けていました。今にして思うと今の中国のように目覚ましい経済発展を遂げる中で貿易摩擦などが生じたように、他国からやっかみもあったのでしょう。
香港に住んでみると、その「ウサギ小屋」と言われた日本のさらに上をいく劣悪な住宅環境に驚きます。香港は物価が高いことでよく知られていると思いますが、つまり不動産価格が高いのがその原因だと思います。住宅は、主にマンションですが、驚くほど狭くて価格が高いです。香港は東京のほぼ半分の面積と人口で、つまり人口密度が同程度、ということなのですが山が多く、住宅に適した土地は限定されます。そもそも、供給が不足しているのです。
香港には四大デベロッパーがあります。日本でも有名な李嘉誠のCK Aasset Holdings、Henderson Land Development、New World Development、Sun Hung Kai Propertiesです。政府から入札によって払い下げられる土地は彼らに独占され、不動産の収益は電気やガスなどのインフラ事業、果ては小売店網や通信サービスなどの事業展開に投下されています。香港の市民は毎日の生活で、どこでお金を使ってもこれらのデベロッパーに払っているのだ、という感覚をもっています。実際そうなのです。
私自身、Henderson Landのマンションに住み、Sun Hung Kaiの運営する日本食スーパー「一田」で買い物し、CK Assetのオフィスを賃借し、そして仕事は、やはりこれらのデベロッパーから受注しています。なんというsmall経済圏。
(続く)
Be water, my friend.