水になるブログ

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上海のウルムチ

 中国各地で起こっている集団による抗議活動はちょっとしたデジャブ(既視感)を感じる光景です。特に上海。香港と同じく国際都市として洗練されたイメージのある上海で人々が感情を表に出して行動を起こしている光景は、2019年に逃亡犯条例に端を発した香港の反政府デモンストレーションを思い起こさせます。
 新疆ウイグル自治区のウルムチで起こった火災によって10名の死者が出た事件に触発されたと言われており、同自治区の省都であるウルムチからその名前をとったウルムチ通り、(乌鲁木齐路 wulumuqi-lu)に人々が集まりました。中国語のwu_lu_mu_qiは四つの母音がすべて三声で発音され日本語で発音するウルムチとは異なり一本調子の発声になります。おそらくウルムチというもともとは外来の地名を漢字にあてはめるときに意図して一本調子になるよう意識されているのだと推測しています。
 上海で中国語の学校に通ったとき、先生は新疆ウイグル自治区出身の女性でしたが、テキストで乌鲁木齐に触れたときに四つの母音すべてが三声であることに非常に違和感を覚えて質問したことを憶えています。三声はいったん下がってまた上がる、という声調です。いったん下がってまた上がる音を四つ続けるというのはかなり不自然ではないのか?と思ったからです。また、先生の発音を聞いても実際に「いったん下がってまた上がる」音が四つ続いているようには感じず、ただ一本調子だという感覚でした。先生は、(母国語として)そんなことを考えたこともないので「え?」といった様子でこの日本人がなにを言っているのかわからず、しかしよくよく聞くとなるほど外国人はそういう感覚を持つのか、というように感心したようでした。後になって自分でも自然に発声できるようになりました。
 上海には米英仏と日本の租界地があり、フランス租界は特に瀟洒な住宅街で今でも人目を惹き、上海の魅力の一つと言えると思います。乌鲁木齐路は上海の中心地にあり南北に抜ける通りです。東西を走る通りとしては北側は高架路を伴なって中心部は地下鉄二号線と並走する延安路、南側は東から徐家汇路、肇嘉浜路、虹橋路、と出世魚ように名前を変える通りの肇嘉浜路にぶつかります。その間には華山路、長楽路、淮海路、衡山路を通り抜け、フランス租界の魅力に触れ、カフェやレストランが多く集まり、歩くのにとても楽しいエリアになっています。

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 乌鲁木齐路の抗議に参加していたある30代の上海人の声:「中国人はあまりにも長い間臆病だった。ゼロコロナ政策の三年間を経てついに、基本的人権について声を上げるようになった。」「ウルムチの火災が分岐点となってみんないろいろ考えるようになった。なぜ自由がないのか。なぜ現実と政府が言っていることが真逆なのか。なぜメディアは嘘で隠された事実を暴こうとしないのか。」
 政府は情報統制をしており、コロナ政策に対しても正当化どころかその絶大なる効果を誇示しているようですが、サッカーのワールドカップが放映されて実は外国ではマスクもなしに競技場に集まっても平気だ、とばれてしまいました。更に徹底して統制するためにはやはり北朝鮮化の道を歩むしかないでしょう。
Be water, my friend.