水になるブログ

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香港大手不動産デベロッパーの憂鬱(3) 新界、北部計画

 香港といえば香港島と九龍半島がよく知られていますが、新界(New Territories)の存在については私自身はよく知りませんでした。新界は英国が清から香港島と九龍半島を割譲したあと「租借」した地域で、本土の深センと接する九龍半島の北半分と233の島から成ります。

 現在の香港特別行政区の面積のうち実に90%をこの新界が占め、人口は香港全体の半分程度と言われています。新界原住民と呼ばれる代々この土地に住む人たちがいまして、現在でも特殊な地位を保持しています。たとえば土地は独自の共同体である村落が保有しており、政府が移転を求める際には十分な補償を用意するなど。

 新界は香港のニュータウンとしての役割を担い、本土や香港内部からの移住者が増加し、今では移住者が90%を占めると言われます。特に、隣接する広東省から移住する人々にとって深センから距離が近いことは魅力ですし、社会福祉政策として安価に提供される公共賃貸住宅も用意されています。

 10月6日、キャリー・ラム行政長官が北部都市圏発展計画を発表しましたが、これは2019年2月に中国政府が発表した香港、マカオ、広東省を結ぶGBA(Greater Bay Area)構想を背景にしています。GBA構想は三つの地域で合わせて86百万人、$1.7兆のGDPを包含する世界最大のベイ・エリア経済圏を詠っています。

 この国家構想の具現化の一部、あるいは重要なパーツとして今回の北部計画が企図されており、この計画を象徴する「双城三圏」(Twin Cities, Three Circles)を標榜しています。つまり、香港と深センを経済圏として一体化、統合し、人材交流、投資開発が政府主導で推進されることになります。

 この計画には住宅問題の改善に関する内容も含まれており90万世帯、250万人相当が居住できる量の住宅を開発するとなっております。250万人といえば、香港の人口の1/3に相当するわけで、内部移動と本土からのさらなる流入の両方を想定していると思われます。20年がかりのプロジェクトですが、交通などのインフラストラクチャも含めてどのくらいの投資金額になるのでしょうか。

(続く)

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