水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

全人代の人事と香港のかじ取り

 両会は全人代(全国人民代表大会)と政協(中国人民政治協商会議)を指し、今回は3月4日から開催されますが、それぞれ第13期全人代第5回会議、全国政協13期第5回会議となります。単なるショーでしょう、というのが大方の見方ですが、それにしても非常にややこしいです。

 以下、人民網日本語版(http://j.people.com.cn/n3/2022/0303/c94474-9965052.html)より

全人代は全国人民代表大会常務委員会を常設機関として任期5年、年1回会議を開催します。ここでできることは「憲法改正」や「国家機構構成員の選挙・決定・罷免」のほか法律の制定と改正、国家の重大事項の決定、となっておりシャンシャン会議としてもその意義は理解できます。一方、政協は全国委員会と地方委員会を設置し、やはり任期5年、年1回の会議となっています。主な役割として「政治協商」「民主監督」「参政議政」、16字方針というのがあり、「長期共存」「相互監督」「肝胆相照」「栄辱与共」ということで私にはもはや理解不能です。

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 今回の全人代で国家副主席に就任するとみられている現国務院副総理の韓正は中央港澳工作領導小組(the Central Leading Group on Hong Kong and Macau Affairs)のトップでもあります。次期国務院副首相となる王滬寧と人民政治協商会議主席となる丁薛祥がこのポジションを引き継ぐのではないかとみられているそうです。

 香港国家安全法を施行し、選挙権も北京が実質的に取り上げた今の香港は以前と比べてコントロールしやすくなったと見る向きもあるがそれは間違った見方だ、と深圳大学で香港問題を研究する専門家が述べています。米中の緊張がますます高まる状況下での香港の発展を推進するのは非常に難易度が高いということですね。精華大学国家戦略研究院の謝茂松や全国港澳研究会の劉兆佳は香港をコントロールするには強力な政治力、深い知見を必要とする、と口を揃えています。香港には米国や英国と中国がともに複雑に絡み合った利害を共有しているというのがひとつの理由です。

 本当に複雑そうですし、ハンドリングは難しそうです。今の中国では不動産市場の停滞、金融機関の混乱、人口減少、地方財政の悪化など取扱いの難しい案件や根の深い問題がどんどん表面化していますが、独裁による強権国家がこれらを解決していけるのかは大いに疑問です。不正蓄財に勤しむだけでなく本当に優秀な官僚や政治家もいるはずですが、むしろ独裁強権国家によってこのような結果を招いているというのが自然な見方でしょう。

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米国株 先週の動き 2023月2月20日〜2月24日

  PCEデフレータの予想を大きく上回る強い数値が出ました。米株価三指数は週間でそろって▼3%前後の下落、S&P500は50日平均線を下抜けて1月20日の水準まで戻ってしまいました。先週、5.00-5.25で打ち止め5月あるいは6月で利上げが終わる、というメインシナリオを設定しましたが早くも崩壊寸前。

 長期投資なのでどうってことはないことはわかっているのですが今年ここまで順調にきていただけに、1か月時計の針が戻るのは堪えます。10年債利回りが2月に入ってから上昇を続けているのも嫌な感じです。4%を超えてしまうのか・・・。

 

期間:2023年2月20日〜2月24日

概況:

  • 10年国債利回りは4%が目前となり、3.95
  • 米株価三指数は共に▼3%前後の下落
  • 香港ハンセン指数も同様に▼3.4%の下落
  • PCEデフレータ(前年比) 5.4%(予想4.9%、前回5.0%)
  • ミシガン大学消費者信頼感指数(確報) 67.0(予想66.4、前回66.4)

 

保有資産実績:

  • 合計保有量は増減なし
  • 評価額は▼2.9%の減少、累計損益率は▼14.7%
  • セグメントでは全セグメントで減少、最大は香港株の▼5.7%
  • 個別では13銘柄中13銘柄が減少、最大はXMTRの▼6.0%

含み損益週間差異

  • コア投資A:グローバルREIT▼2.6%、世界割安成長株▼1.2%、米国株投信▼1.9%
  • コア投資B:VTI▼2.6%、J&J▼2.7%、AT&T▼0.7%
  • レバレッジETF:SOXL▼4.3%、QLD▼4.6%、TMF▼1.3%
  • IPO銘柄:ドクシミティ(DOCS)▼1.5%、ゾミトリ(XMTR)▼6.0%、CSディスコ(LAW)▼3.5%
  • 香港株:0142FP▼5.7%

今週の動き:

2月28日(火)シカゴ購買部協会景気指数(PMI)(予想45.1、前回44.3)

3月1日(水)コンファレンスボード消費者信頼感指数(予想108.5、前回107.1)

3月2日(木)ISM製造業景気指数(予想47.8、前回47.4)

3月4日(土)ISM非製造業景気指数(予想54.6、前回55.2)

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中国のブラック企業

 イーロン・マスク氏がツイッター社を買収した際に「競争が激化する世の中で成功するためには、極めてハードコアになる必要がある」「これは集中的な長時間労働を意味する。並外れたパフォーマンスだけが合格できる」などのブラック企業を標ぼうするメッセージを発して話題になりました。前時代的と否定的な見解とともに賛同する声も少なくなかったそうですが、私も賛同派です。かつては自分が勤めている企業がブラック企業だったこともあり、そうした経験からも社員が他の企業、特に競争相手と同じように働いて傑出した成果を出す企業になるということはないと思います。ただし自分にあった働き方は大事にしたいですね。

 米国の巨大テック企業で大規模な雇用解雇が相次いでいますが、この記事で取り上げられているMark劉はカナダでAmazonに勤めていたエンジニアです。いったん祖国に戻り、しばらくは祖父や家族と時間を過ごしながら次の職を探すのですが、中国で勤めることは考えていないようです。同様にカナダやアメリカでテック企業のレイオフに遭った多くの中国人技術者は劣悪なワークライフバランスやより激しいストレスに見舞われる就業環境を理由に中国企業で働くことを躊躇しているようです。

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 中国のテック企業を中心に、996と言われる9時から21時まで週6日働くスタイルが定着(?)したのはバブル時代の日本で流行った「24時間働けますか」というCMを想起させました。Mark劉の場合、2014年に大学を卒業したあと上海で国有銀行に就職した際に上司から「強制」残業46時間を明確に言い渡されました。46時間はともかく「強制」とはなかなか強烈ですね。月の残業が46時間に達しないと非難され、翌年からは46時間が50時間になったそうです。彼は会社がとにかく従業員を使い倒し、金のための奴隷になった気分だと言います。

 半導体をはじめとするテック業界が西側諸国から締め付けを受けている状況下で中国企業は好条件で技術者をひきつけようとしています。米国西海岸の半導体チップエンジニアとして働いているNeo(仮名)は中国に帰るべきか自問しますが、応えはNoです。「仕事の負荷は今より増えるが、収入はそれほとでもなく、若い技術者が中国に戻る例を聞いたことがない。」父親になったばかりのNeoは朝のミーティングを自宅で済ませてから自分と赤ん坊の朝食、犬の散歩をしてオフィスに赴きます。「こういう働き方は中国では考えられない。ここでは問題が起きれば犯人捜しをするのではなく誰もが解決策に集中する。オフィスにできるだけ長く残る競争をするものもいない。」

 中国では躺平(寝そべり)族といって激しい競争や無理をしてマンションを購入することを諦めて、お金も奥さんもないけど静かに生活したいという若者が増えているそうです。私自身も7年間そこで暮らし、仕事をしましたが本当にたいへんな社会だと思います。

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