水になるブログ

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中国の首相の存在感

 中国の1月-3月のGDPは対前年で4.8%成長、今年目標の5.5%に大きく差をつけました。ここ一ヶ月の上海の様子をみているだけでも正常な経済活動がほぼ停止しているような状況なので、4.8%と聞くと「予想よりもよかった」という人も多いと思います。中央からの、もっと正確に言えば習近平総書記のゼロコロナ、コロナ封じ込め指示による無茶ぶりが世界第二位の経済を麻痺させているというのが外部からの見立てではないでしょうか。

 秋の第20回党大会で任期を全うすると表明した李克強首相は最後のお勤めということか、ここへきて存在感を示しています。各省の長を集めた会議で雇用確保と物価安定を指示しました。具体的には減税措置、特別目的地方債発行による公共事業を促進など。また、ゼロコロナ政策の下で各地で行われている輸送や交通の機能停止について、省レベルの権限での道路、水路、空港、港などの使用制限や封鎖の禁止を通達しています。

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 これに続いて人民銀行が832億USドル規模の金融緩和、さらに急激な元安を緩和するための外貨準備引き下げなどの金融政策が打ち出されました。相変わらずスピード感があるな、と感心する一方で、ゼロコロナによる経済の影響に対して首相が経済のさらなる停滞阻止のために策を打ち出すというのも受けるほうとしてはどうするんでしょうか?という疑問があります。もちろんいつもの政治争いの構図の中の一幕であり、当事者のみなさんにはいつものことです。

 企業で言えば、会長と社長が別々の指示を出して(そもそも会長が現場に指示を出してはいけないというガバナンス上の制約が無視されている状況で)現場は戸惑い、少なくとも非効率となり、双方に茶坊主が登場し、上をみながらどっちに転んでもいいように行動や判断を果てしなく留保する、という困った状況と同じです。結局市場への活動や価値の提供が疎かになります。

 毛沢東のときもそうですがトップの指示に対しては、たいていは極端に反応するのが常で、合理性人道性無視の徹底規制、さらにここぞとばかりに権力を利用して規制から収益をあげる輩がそこら中から涌いて出てくる結果、非合理性非人道性は自走力を伴って加速し、今の上海のような状況ができあがっていきます。なんの罪もない人民にとってはたまったものではありません。

 被害が拡大しないようお祈りするしかありませんが、官に対しては政治闘争の先におもしろいことが起こるのを期待します(なにも変わらない可能性は高いけど)。

Be water, my friend.