水になるブログ

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健全な社会と法の支配 香港のよき資産

 香港の最高裁にあたる終審法院の判事はイギリスの最高裁判所判事が兼任しています。香港のよいところのひとつは遵法意識が高いことだと常々思っています。法律を軽んじるということは不平等、不公平、不公正の温床となります。たとえば、海外で建築に関わる請負事業を遂行する上で回収は大きな課題ですが、香港の場合、少なくともルールがクリアであり、一方で社会資本としての建築プロジェクトの遂行が毀損されないよう、下請け業者や現場作業員への支払いを担保するしくみも備わっています。

 3月にイギリス人判事二人が辞任を発表しました。理由について「政治的自由や表現の自由という価値観から遠く離れた行政を認めるそぶりを見せなければ香港での職務を継続できなくなってしまった」というふうに説明しています。悲しいことです。残念なことです。2020年に中国政府が制定した香港国家安全法によって1997年のイギリスからの返還時の合意が反故にされたことによる重大な帰結がここにもあらわれています。

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 独立機関である世界正義プロジェクト(WJP)の「法の支配指数」は、政府権力の抑制、腐敗がないこと、開かれた政府、基本的権利、秩序と安全、監督権の執行、民事の司法、刑事の司法を評価しています。2021年の最新調査で香港は139カ国・地域のうちなんと19位にランクしています(日本は15位)。まだ法の統治による健全性は保たれているということでしょうか。香港におけるコモン・ローの歴史は180年に及び、人々に、あるいは社会に価値観や行動規範として根付いています。このすばらしい資産が守られ続けることを願って止みません。

Be water, my friend.