水になるブログ

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中国No.1火鍋チェーンの躓き

 火鍋は中国で人気レストランのジャンルのひとつです。真っ赤なスープで食べる重慶火鍋が発祥と聞いた記憶があります。チェーン店としては小肥羊が中国のどこにいっても店を出していました。羊を店名やキャラクターにつかっているところからもなるほどと思いますが、もともと内モンゴルの企業としてフランチャイズ展開をしています。2008年に香港で上場、2012年に中国でKFCやPizza Hutを展開するYum Chinaが買収しています。

 火鍋はひとりでいくには不向きですが、肉も野菜も食べられるし、ビールとの相性もよく、私は好きなジャンルでした。肉は豚や牛だけでなく羊が食べられるのもよかったです。日本人にとっては値段も安く、飲んで食べてひとり200RMB(当時レートで3000円)でお釣りがきます。地方なら100RMB以下です。豚の脳みそというのがあって、一度食べさせられたことがありました。とても気持ちが悪かったのですが、口に入れるまでで、食べてみると豆腐か白子か、といった味わいでした。しかしどうしても自分が豚に化けるような妙な気持ちになり、それ以来二度とは口にしていません。

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 海底撈は1994年に四川省で始まり、中国最大の火鍋チェーン店に発展しました。創業者は張勇。私が上海にいたときに、このお店は評判になっていました。少なくとも当時の中国としては斬新な接客サービスで顧客のハートをつかみました。ゴムひもやヘアピンのような食事中のセルフケアの小道具や、子供の面倒をみてくれるサービス、席待ち時間中のマニキュアや靴磨き、食事中のエンターテインメント、などなど。私はあまり好きではなかったです。そんなことしなくていいよ、と。小肥羊が好きでした。

 順調にビジネスを拡大してきましたが、コロナウイルス発生後も積極的に店舗網を拡大したことでつまづきました。2020年の決算では売上は286億RMB(5150億円)に増加したものの、純利益は前年の1/8に減少。2021年6月までの一年間では一気に600店の新規店舗を開設し海外を含めて1600店まで拡大しました。コロナの影響で有利な条件で家賃交渉ができたからです。

 しかし、コロナが与える影響は計画で折り込んでいたよりも長引きました。11月には300店の閉鎖または営業停止を発表します。そしてこのほど最新の決算で$600億の損失を計上し、創業者でCEOの張勇は会長に退くという発表がありました。記事によると、従業員の解雇はしないそうです。今、中国ではIT業界、不動産業界などで解雇の嵐が吹き荒れています。中国企業にとっては従業員を解雇すると補償金の支払いが発生するため、労働契約は解除しないが仕事もない、社宅や寮もなくなる、という環境に追い込んで自発的退社を促すあこぎなやり方はふつうです。海底撈の言う解雇しない、というのはこの意味か、どうかそれはわかりません。

 Luckin CoffeeのようなNadaq上場企業でも売上水増しもへっちゃら、恒大のようににっちもさっちも行かなくなるまで借り入れと事業を野放図に拡大するのもスタンダード、という中国で海底撈の張勇は比較的良心ある経営をされているのかも、という気もします。株価は2021年2月のHK$84から現在HK$18、1/5に下がっています。

 買い時かもしれませんよ。

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