水になるブログ

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2025年 中国高速鉄道5万km計画 (3) 鉄道部

 中国では罰金によって統制を図ろうという考え方は一般的です。また、抽象的な概念よりも圧倒的に現世利益に重きをおきます。目の前の利益が重要なのです。洗練された都市である上海ですら、日本料理店で注文したものと違うものが運ばれたときに「これ違うよ」とクレームすると強引に受け取るように交渉された経験がありました。店員さん(服務員)は自分の受注ミスによってロスが発生すると店主(老板)から罰金によって詰め腹を切らされるのです。

 この場合、経営者にとってお客さんが明日またきてくれることよりも、今日のロスを埋め合わせることのほうが優先だということは明らかです。日本人がもっている将来に対する感覚と中国のそれとは我々には想像ができないような大きな隔たりがあると思います。

 中国の大都市は農民工に代表される流動的な労働力にあふれており、単純労働者に対して価値観によって行動を統制することは半ば諦められており、したがって罰金という、直接的な手段が選ばれるのでしょう。それはそれで、道理です。

 最近の事例でも、コロナウイルス発生の起源について、国際社会から「隠蔽」を批判されていました。2011年7月に浙江省で起きた高速鉄道の追突事故を記憶されている方は多いと思いますが、事故に遭った車両が高架下に埋められた事実に国際社会は呆れかえりました。鉄道インフラは当時、鉄道部の管轄にありました。鉄道部は2013年に解体され、以降鉄道行政は中国国家鉄路集団という組織が担当することになります。

 劉志軍は2003年3月に鉄道部部長に任命され、2011年2月に規律違反を理由に解任されました。言わずもがな、汚職が発覚したためです。胡錦濤政権は江沢民の息がかかった劉志軍の汚職については従前から知り得ており、劉の失脚と鉄道部の解体をねらっていたわけです。高速鉄道のインフラに使用されるコンクリート、防音壁、はては車両の動力に至るまで不正な発注によって品質不具合が発生しており、運行に支障を及ぼしていたということです。

 劉が受け取った賄賂は6460万元(15円で換算すると約10億円、中国のこのクラスの役人の賄賂としては少ない)、不正に取得したマンションが374部屋、愛人は18人だったそうです。

 私もかつて高速鉄道を利用していたのですが、今考えると恐ろしいものに乗っていたんですね。

(続く)

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