水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

中国リスク 食の安全保障

 14億人の胃袋を満たすことは政権を安定的に維持していくための至上命題です。不動産の資産価値下落がすすみ、さらに食糧事情に深刻な影響が出始めると、さすがに暴動が起きるのではないかと思います。小さい暴動はいつも起きてはいますが。

 中国といえば、14億人の半分以上が農村戸籍の農民であり、農業国のイメージがあります。実際、主食品の中でも米、小麦、とうもろこしなどの自給率は100%近くを保っています。しかし、アキレス腱は大豆なのです。中国の大豆輸入量はこの10年で二倍になり、今や国内で消費される大豆の80%はブラジルやアメリカからの輸入に頼っています。

 大豆は、食用油の原料や家畜の飼料が主な用途で、中国の料理にとっては欠かせない材料です。その大豆をアメリカをはじめとする諸外国に頼るというのは安全保障の観点からみて非常に危険な状態じゃないでしょうか。実際、習近平総書記はこの問題について昨年12月の会議でa major strategic issue(戦略的重要課題)と表現しています。

 トランプ政権が貿易戦争をしかけたときは、やはりその足下をみていたんですね。ちなみに2021年1月から11月の期間、アメリカから輸入した大豆は全輸入量の30%に相当する2620万トンで前年から47.4%増加しています。全体の輸入量はわずかに減少しているにも関わらず、です。しかし当時両国が交わした暫定貿易協定の農産物輸入目標には遠く及ばないそうです。

 アメリカが今年から利上げを予定している最中、中国は経済活性化のために1年8ヶ月ぶりの利下げを実施しました。元安によって大豆のコストが上昇し、消費者物価にも影響を与えそうです。中国では飲食店などで食用油の再利用が問題になっていましたが、再利用の動機が高まる要因になると考えると、いやーな気持ちになりますね。

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 東北三省のひとつ、黒竜江省は中国の大豆生産の40%を占めており、2022年から中央政府の指示により、その生産高を20%引き上げる計画を与えられました。そもそも国内の大豆生産量は近年減少しているのですが、その背景にはとうもろこしの方が儲かる、という事情があります。政府は農業面積あたりの生産性を上げるため遺伝子組み替え種子による収穫期間の短縮も実施されているようです。

 とうもろこしの方が儲かるから大豆の生産が減るってこれ、本当に計画経済の社会主義の国なんでしょうか。

Be water, my friend.