水になるブログ

米国株を中心とした投資、料理、ゴルフの話題をお伝えします。

米国株 ものづくりのマーケットプレイス Xometry

 「そうは問屋がおろさない」は、かつては問屋という存在がいかに強かったかをあらわしています。問屋さんの機嫌を損ねると小売りは商売に支障が出る、という時代があったのでしょう。やがて、現代になると「中抜き」という言い方があるように、社会的インフラストラクチャや情報技術の発展とともに、購入者と生産者の距離は近くなっていきます。

 問屋の機能は調達、決済、物流といわれます。現在では、マーケットプレイスと言われるようにB2Bのeコマースが実現し、こうした中間的な役割は劇的に置き換えられるようになりました。

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 ゾミトリ(Xometry:XMTR)は金属加工などの製品が必要な購入者とサプライヤをつなぐB2Bマーケットプレイスです。NASA、BMW、Modernaなどを含む26000以上のアクティブ・ユーザー(購入者)を保有し、登録されたサプライヤと過去の取引から蓄積された膨大な情報を元に、AIをつかって正確な見積価格、納期を短時間で提供し、購入者が承認すれば登録されているサプライヤから最適な業者を特定し、納品を保証します。

 こうした製造業者はたいては零細で、地域もばらばらですから、購入者はその要求を満たす業者を特定するのは容易ではありませんし、製造業者は顧客を見つける方法に限りがありますし、支払いの遅れはいつも悩みの種です。このような、買い手、売り手双方の課題を解決する価値に加えて買い手である企業の新商品開発や市場投入のリードタイムを劇的に短縮する同社のビジネスはかつてAmazonがそうだったように、幾何級数的に市場の需要をとらえて成長を続けるものと期待しています。

 今回、XometryはThomasという老舗の製品供給、サプライヤ選定のデジタルマーケティング企業を$3億ドルで獲得しました。ThomasはXometryのようにAIアルゴリズムをつかって製造技術とパーツ情報などを組み合わせて見積価格を提供するサービスはなく、かわりに50万件のサプライヤーネットワークを構築しています。このことはこのM$Aが効果的な相乗効果を期待できることを示しています。XometryはThomasの顧客ベースを利用してビジネス拡大の速度が格段に上がることが期待されます。

 Xometryの11月に発表した第三四半期決算は売上高が$56.7で前年比+35%、総利益は$14.5Mで+42%でした。長期に向けた先行投資が続いており、まだ赤字ですが、売上高、顧客数ともに順調に増加しています。

 

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