ここのところ持ち直してきた香港市場、その中でも今年6月に購入以来、一時は△33%下げたTencentが10月入って上昇傾向にあるのは喜ばしい限りです。
政府の規制によってボコボコにされている中国株におけるもう一方の雄、Alibabaとの比較を論じている記事を紹介します。中国株は今こそ買い時という見方をされる向きにはご参考になろうかと思います。
結論は二社の比較において、買うべき銘柄としてTencentに分があるということですが、なぜでしょうか。
1.売上・利益の源泉が多様であること
- Tencentの売上構成:ビデオゲーム31%、フィンテックおよびクラウドサービス30%、SNSと加入料金21%、オンライン広告17%
- 未成年のビデオゲーム利用を規制されたが、全体の売上・利益に対しては影響は限定的
- 対してAlibabaの売上は87%をeコマースに頼っている
- さらに売上の39%は儲けどころのリテール・コミッション(同社の表記はChina commerce retail部門のCustomer management)だが、全体の売上成長が34%に対してリテール・コミッションはわずか14%の成長
- eコマースのうち48%の売上高を占める事業は赤字
2.中国以外の資産と投資
- TencentはTesla、Snap、Activision Blizzard、Universal Music Groupにも投資している
- 同社の国外投資のうちもっとも成功しているのはSea Limitedで、Alibabaが保有するLazadaの東南アジアでの市場を奪っている
- Tencentの投資ポートフォリオは合計$2240億で、国内のJD.com、Pinduoduo、Meituanが含まれる
- 一方Alibabaは総投資額$830億で、このうちIPOに失敗したAnt Financialの持ち分33%が$450億-$650億を占めている
- またTencentが運営するWeChatを利用して投資を受ける企業に12.5億のユーザーに簡単にアクセスできる点もAlibabaにない優位性だ
3.規制当局との関係
- 政府に対する金融システム批判をしたAlibaba創業者のジャック・マーと対照的にTencentのポニー・マーはもともと派手な言動もなく、当局とは良好な関係を維持しているようだ
- TencentもAlibabaと同様当局から罰金を命じられているが、対象となったのはTencent Musicのようなノンコア事業で、罰金もAlibabaが課せられた金額よりも少ない
Tencent株保有者としてはこのままうまくやっていてくれ、と祈るばかりです。
Be water, my friend.