みんな大好き恒大集団の最新記事をWSJから紹介します。
しかし中国の人がやることはスケールが桁違いですね。恒大集団のケースも簡単に言うと放漫経営ということなんでしょうが、放漫のスケールも想像を絶します。
日本の企業で巨額の負債を抱えて倒産したケースはクラウン・リーシングや山一証券がその負債の大きさでは上位ですが、それぞれ1兆2000億円(110億ドル)、5100億円(46億ドル)といった水準です。恒大集団は有利子負債を三分の一まで減らして880億ドルだそうです。
一方でGDP成長率をKPIにされている地方政府や、建設に許認可を与える役人など、中国全土で多くの人が便益を得たことでしょう。資材を納入する業者などは低いマージンで契約し、挙句売掛金が回収できなくなっていますのでこちらは被害者。途中で建設が止まるなどマンションを購入する人のなかにも多くの被害者がいるのではないでしょうか。このような債権回収リスクの高い企業に融資をさせられた企業もあると聞きます。ここにも被害者。
今回の記事では今年上半期の業績、大幅赤字の発表があり、関連する財務状況等を中心にまとめていますので、簡単に整理をしてみました。
個人的に気に入ったくだりは、EV事業の件です。売却検討をすでに発表していますが、ここに巨額の投資をし、巨額の赤字を垂れ流し、そしてまだ一台も販売はしてないのだそうです。もともと資金集めが目的だと言われていましたが、株価暴落によって企業価値も十分の一以下になってしまいました。
- 今年上半期、不動産部門は香港に上場した2009年以来の大幅な赤字、6億1800万ドルを計上
- 子会社のEV事業は7億4100万ドルの赤字
- 同EV事業会社は依然、テスラをライバルとして大いなる野心を燃やしていたが、まだ一台も売っていない
- 恒大集団の株価はここ数年にない低水準でうろうろしていたが、先週木曜日、この業績悪化の報告によってさらに7%下落した
- EV事業の株価は過去最悪の19%の下落を記録し、時価総額は65億ドルに下がった
- 年初は800億ドルだった
- 本業のマンション開発では数十年にわたって中国全土に建設するため莫大な借入を実行した
- 昨年末時点で中国の234都市に798のプロジェクト実績がある
- この過程において同社は中国で最大のドル建て債券発行主体となった
- 同時に中国内で銀行や他の貸し手からの借入を増加させた
- 昨年コロナ感染が本格化したころから同社は価格を25%まで下げてマンションの販売を促進した
- 同社のマンション販売契約額は2020年が1120憶ドル、今年の第一四半期は230億ドルだった
- 同社は事業を縮小して借入を減らし、資産売却によって現金を増やす方針で、すでに有利子負債は一年前の三分の一、880億ドルまで減らしている
- 先週、恒大集団は幹部が金融規制当局に呼び出しを受けて債務問題を解決し、不動産と金融市場に不安を与えないようにと厳命された
- 同社は販売した顧客に対して責任をもってマンションを納品すると言っている
最後は言われていることと答えていることが違いますね。
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