水になるブログ

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中国政府の企業締め付け ジャンク債問題

 またしても恒大集団がとりあげられていますが、ここのところの中国政府による企業への締め付けがおよぼす債権市場への影響を確認しましょう。

 覚えておきたい用語:

  • corporate crackdown 企業に対する締め付け
  • hgh-yield 高利回りの(債権利回りは取引価格と利率の関係から計算される収益性のこと、額面に対する利率はinterest rate)
  • non-investment-grade 格付けBB以下の信用度の低い債権、junk bond、high-yield bondと同義、恒大集団はこの記事にもあるとおりS&P格付けをCCCに落とした

www.wsj.com


記事の要旨:

  • 不動産デベロッパーの借り入れ急増により中国企業はアジアの3000億ドル規模に及ぶ高利回りドル建て債市場の中核となっている
  • 債券市場は恒大集団に代表されるデベロッパーの債権価格急落と住宅バブル抑制策によって窮地に追い込まれた
  • 中国企業のドル建て非投資適格債権(信用度の低い債権)に対する平均利回りは7月末から8月初旬にかけて14%にも及んだ
  • これは米国企業のジャンク債の平均利回りを10%も上回る
  • 両者の差はここ10年で最大の水準
  • 米国企業債は今年、FRBの金融緩和政策によって恩恵をうけた
  • 一方中国経済は昨年回復し、政府は不動産セクターを中心に債務削減策を再開した
  • 政府は昨年、不動産デベロッパーに対して the "three red lines"(三條紅線)を示し、負債の圧縮を求めた
  • また同時に投機的住宅購入や住宅価格の高騰を抑制する施策を実施してきた
  • 恒大集団は内外で880億ドルに上る有利子負債を抱えこみ、未払いの負債残高は160億円以上、ドル建て社債のうち価格が半分以下のものもある
  • 中国企業の債務不履行は政府の介入によって実現せず、大企業の倒産は回避され、債権者は保護されると信じられてきた
  • 今や事情は大きく変わり、債務不履行した企業の中には大手不動産デベロッパー、国有の半導体チップメーカー、石炭業者などが顔を連ねている